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野生の思考

訴状

まず、最初の訴状をじっくり読んでみましょう!

あくまでもHPができるまでの暫定措置ですが、ご覧ください。

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              訴 状

                      平成29年9月28

                     東京地方裁判所民事部 御中

当事者の記載
別紙当事者目録記載のとおり

事件名 損害賠償請求事件
訴訟物の価格 金1100万円
貼付印紙額 金5万3000
予納郵券 金6000


         請求の趣旨

1   被告は原告に対して金1100万円およびこれに対する平成27年4月4日から支払済みに至るまで、年利5パーセントの割合による金員を支払え

2   訴訟費用は被告の負担とする
   との判決ならびに仮執行宣言を求める。



          請求の原因

第1 当事者
1   原告は、ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻した後、平成27年初めに帰国し、トムソン・ロイターインターンとして勤務していた際に、就職先の紹介を受けるべく、平成274月に被告と会ったところ、被告から、後述する不法行為による被害にあった者である。

2   被告は、TBSに入社後、政治部を経て平成25年からワシントン支局長を務めた後、平成285月に同社を退社し、フリーのジャーナリストとして「総理」(幻冬舎)を出版したほか、テレビのワイドショーなどに多数出演していた者である。

第2 事件当日までの経緯
1 原告は、平成25年秋ころに、ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻していた際に、当時、TBSのワシントン支局長であった被告とアルバイト先のピアノバーで面識を得た。原告が、報道機関での仕事に興味があると告げると、被告は数日後にTBSのニューヨーク支局長を交えた昼食会に呼んでくれ、ニューヨーク支局長とともに、TBSのニューヨーク支局まで同行させてもらった。しかし、原告は、ニューヨークの大学卒業後は、日本テレビのニューヨーク支局でインターンとして働くことになったため、ニューヨーク滞在中に、被告と再度会うことはなかった。

2 原告は、平成27年初めに日本に帰国し、トムソン・ロイターインターンとして働くようになったが、正社員としての就職先を探す中で、以前面識のあった被告がTBSのワシントン支局であればいつでも仕事が紹介できると話していたことを思い出し、就職先の紹介をしてもらえないかと考え、メールで連絡をとったところ、被告からは、「まずこっち(アメリカ)に来てフリーランスとして契約して、しばらく仕事をしてもらいながら正式に採用に向かうという手もあります。このやり方なら私が決済できます。」(平成27年3月27日)といったメールの返信があった(甲1号証)。

3 その後、被告に対して原告の履歴書を送ったところ、平成27328日に被告から「履歴書受け取りました。ありがとう。最大の関門はビザだね。TBSで支援する事も可能ですので、検討してみます。ところで、ヤボ用で一時帰国することになったんだけど、来週は東京にいますか?」とのメールがあった。原告は、渡米の段取りに向けた話をするものと考えて、被告に会うこととし、事件が発生した平成2743日に恵比寿で被告と会う約束をするに至った。

4 したがって、原告は被告とは事件発生2年前の平成25年に、ニューヨークで2回会ったことがあるだけであり、しかも、被告と11で会食をするのは、初めてのことであった。なお、原告は、43日の会食時にも、他の報道関係者が同席するものと考えていた。

第3 会食時の経緯
1 原告は、午後7時に恵比寿駅で被告と待ち合わせをしたが、取材のために1時間遅れてしまった。被告に電話をすると、駅まで迎えに来てくれ、店までの道すがら「恵比寿には顔をださなきゃいけない店がものすごくあり、次に行く寿司屋を予約していて、ここは軽くつきあってくれ」と言われ、串焼き屋に案内された。串焼き屋では、原告は串焼き5本食べたほか、コップのビール2杯、グラスワイン1杯ほどを飲んだだけであった。1時間半ほど店内にいたものの、被告人は世間話などに終始し、本来するべきビザに関する打合せができなかった。

2 その後、歩いて5分ほどのところにある寿司店に移動した。被告からは、「君の良い評判を聞いていたので、一緒に働きたいと思っていた」などと、ようやく仕事の話が出たが、肝心のビザや待遇の話は出なかった。この間、原告の記憶では2人で日本酒を2合ほど飲んだだけだったが、原告が2度目のトイレに行った際に、頭がくらくらとし、蓋をした便器にそのまま腰掛け、給水タンクに頭をもたせかけて休んだきり、その後の記憶がなくなってしまった。

第3 ホテルに連れていかれるまでの経緯 (採番ダブリ原文ママ
1 原告は記憶していないが、寿司屋から被告とともにタクシーに乗り込み、シェラトン都ホテルに連れて行かれた。タクシーの運転手は、そのときのことをよく記憶しており、原告が「近くの駅まで行ってください」と言っていたにもかかわらず、最終的には被告の指示でシェラトン都ホテルに向かったとのことである。さらに、ホテルに到着しても、後部座席の奥側に座っていた原告はなかなかタクシーから降りることができず、被告が原告の体ごと引きずりだすような形で原告をタクシーから降ろしたとのことである(甲2号証)

2 タクシー運転手の記憶は、ホテルに残されていた防犯カメラの画像によっても、裏付けられている。すなわち、午後1119分に原告らを乗せたタクシーがホテルの車寄せに到着して、午後112042秒に、被告がタクシーの車外に出た場面をとらえた後、再び、被告がタクシー内に体を入れ、車内に残っていた原告を抱えるようにして出て来たのが午後112152秒であり、1分以上の時間をかけて原告を車内から降ろす様子が記録されていた(甲3号証)。
 さらに、ホテル内に入った後も、ロビー内を被告が原告を抱きかかえ、原告が足元に力が入らず上半身を曲げるような不自然な体勢で歩いて行く様子が記録されている(甲3号証、午後11時22分16秒など)。
 なお、シェラトン都ホテルに対しては本件訴訟提起前に、防犯カメラの映像の開示を求めたところ、裁判所から提出を命じられればこれに応じるとのことであったことから、文書送付嘱託の申立を行う予定である。

第4 ホテルの居室内でのやりとり
1 原告が、痛みで目が覚めると被告からの性的被害に遭っている最中であった。ベッドの上で、裸で仰向けになっていた原告に跨がって、被告が原告の下腹部に性器を挿入していた。被告の行為に気づいた原告が「痛い、痛い」と何度も訴えたが、被告は行為を止めようとしなかった。さらに原告が「痛い」と言い続けたところ、被告は「痛いの?」と言って動きを止めたものの、体を離そうとはせず、押しのけようとしても身動きがとれなかった。原告が、「トイレに行きたい」と言うと、被告はようやく体を起こした。その際に、被告が避妊具をつけていないことがわかった。

2 原告は、バスルームに駆け込んで鍵をかけた。バスルーム内には、ヒゲそりなどの男性もののアメニティがあったタオルの上に並べられていたことから、その場所が、被告の滞在しているホテル内であることが分かった。原告が鏡で自分の裸の体を見ると、乳首から出血しており、体がところどころ、傷ついていることが確認できた。原告は被告から服を取り戻して、直ちに部屋から逃げる必要があると考えた。

3 原告が、バスルームのドアを開けると、すぐ前に被告が立っており、そのまま肩をつかまれ、再びベッドにひきずり倒された。そして、抵抗できないほどの強い力で体と頭をベッドに押さえつけられ、再び性的暴行を加えられそうになった。原告が足を閉じ体をねじ曲げたとき、被告の顔が近づきキスをされかけたが、原告が必死の抵抗で顔を背けたところ、原告の顔はベッドに押しつけられた状態となった。被告が原告の顔や頭と体を押さえつけ、自分の体で覆い被さった状態であったため、原告は息ができなくなり窒息しそうになった。原告が必死で自らの体を硬くし、体を丸め、足を閉じて必死に抵抗を続けたところ、頭を押さえつけていた被告の手が離れ、ようやく呼吸ができるようになった。原告が、「痛い。止めて下さい」と言うと、被告は、「痛いの?」などと言いながら、無理やり膝をこじ開けようとしてきたが、原告は体を硬くして精一杯抵抗を続けた。

4 ようやく被告が動きを止めたとき、原告は、とっさに英語で「What the fuck are you doing!」(何するつもりなの!)「Why the fuck do you do this to me.」(何でこんなことするの)「I thought we will be working together and now after what you did to me,  how do you think we can work together.」(一緒に働く予定の人間にこんなことをして、何のつもりなの)などと汚い言葉を混ぜて罵倒した。これに対し、原告は「君のことが本当に好きになっちゃった」「早くワシントンに連れて行きたい。君は合格だよ」などと答えた。原告がさらに、「それなら、これから一緒に仕事をしようという人間になぜこんなことをするのか。避妊もしないでもし妊娠したらどうするのか。病気になったらどうするのか」とさらに英語で聞くと、被告は「ごめんね」と一言謝った。そして、「これから一時間か二時間後に空港に行かなければならない。そこへ行くまでに大きな薬局があるので、ピルを買ってあげる。一緒にシャワーを浴びて行こう」などと言ってきたが、原告はこれを断った。

5 原告は、ようやくベッドから抜け出し、被告に服を返すように行ったが(原文ママ)、被告がベッドから動かなかったことから、原告自らが部屋のあちこちに散乱していた服を拾った。なかなか見つからなかったブラジャーは開いた被告スーツケース(原文ママ)の上にあったが、パンツが一向に見つからず、被告に聞くと、被告は「パンツくらいお土産にさせてよ」などと言ってきた。なおも、原告がパンツを返すよう被告に求めると、被告は、「今まで出来る女みたいだったのに、今は困った子どもみたいで可愛いね」などと良って(原文ママ)、ようやくパンツを返してきた。取り戻した下着や服を身につけ、原告一人で客室を出て、午前550分頃タクシーでホテルから帰宅した。なお、防犯カメラの映像にも、原告が平成2744日の午前550分にホテルを一人で歩いて出ていく様子が記録されている(甲3号証)

第5 事件後の経緯
1 原告は自宅に戻ると、真っ先に服を脱ぎ、着ていたものを洗濯機に入れ、シャワーを浴びたが、あざ、出血している部分があり、胸はシャワーをあてることもできないほど痛みを感じた。その後、被告が避妊具をつけずに性行為に及んでいたことから、平成2744日のうちに、自宅近くにあるイーク表参道に行き、アフターピルの処方を受けた(甲4号証)。

2 事件後、原告は右膝の痛みを感じており、平成2745日に友人と会った際には、痛みのために歩行が困難な状況となっており、友人宅に宿泊させてもらうこととなった。そして、翌6日に、友人宅の近所にある元谷整形外科に行ったところ、「凄い衝撃を受けて、膝がずれている。手術は困難だし、完治まで長い時間がかかる」と言われ、「右膝内障、右膝挫傷」との診断を受けた。そして、その後膝の痛みのために、数カ月にわたってサポーターをつけて生活することとなった。

3 友人に事件のことを初めて話した結果、警察に被害を申告することを決意するに至り、平成2749日に原宿署に相談に行き、その後、事件を管轄する高輪署の警察官に相談をした。

4 平成27417日に、性被害の被害者を多く扱うというまつしま病院に行き、検査を受けた結果、外陰部から膣内には外傷はなく、性病についても異常はないとの診断結果であった。事件後、眠れていなかったことから、睡眠薬の処方を受けた(甲5号証)。

5 平成27430日に、高輪署が原告の被告に対する告訴状を受理した。

6 原告は、膝の痛みのために事件後1カ月ほど職場に復帰することができず、その間も、突然事件のことを思い出したり、街中で、被告に似た人物を見ただけで、吐き気を催してパニックを起こすという症状が続いていたため、平成27520日に、精神科・診療内科のまちどりクリニックを受診したところ、「外傷後ストレス障害」との診断を受けた(甲6号証)。

7 平成276月初めに被告に対する逮捕状が請求されたものの、逮捕状執行が直前になって、警視庁上層部の指示によってとりやめられる事態となり、捜査の担当も高輪署から警視庁捜査1課に変更となった。警視庁捜査1課の捜査員を通じて、被告側から示談の申し入れがあったが、原告はこれを断った。

8 平成28716日に、被告に対する不起訴処分が下された。このため、原告は、この処分を不服として、平成29529日に東京検察審査会に対して審査の申立を行った(甲7号証)。

第6 被告の不法行為責任
1 被告は、平成2744日の午前5時ころ、原告が意識を失っているのに乗じて、避妊具もつけずに原告の下腹部に陰茎を挿入させる等の性行為を行ったのであり、かかる行為は、原告に対する故意による不法行為に該当し、被告は民法709条に基づく損害賠償責任を負う。

2 さらに被告は、平成2744日の午前5時ころ、原告が意識を取り戻し、性行為をやめるよう求めた後も、原告の体をおさえつける等して、性行為を続けようとしたのであり、かかる行為は、原告に対する故意による不法行為に該当し、被告は民法709条に基づく損害賠償責任を負う。

第7 原告の損害
1 原告は、上述のとおり、突然事件のことを思い出したり、街中で、被告に似た人物を見ただけで、吐き気を催してパニックを起こすという症状が現在に至るまで続いており、被告の身勝手な行為によって極めて重大な肉体的・精神的苦痛を被った。原告がこれによって被った損害に相当する慰謝料は金1000万円を下回らない。

2 原告が自ら被告に対して損害請求していくことは極めて困難であり、請求金額の1割にあたる弁護士費用については、被告の不法行為と相当因果関係ある損害と判断されるべきである。

第8 結論
よって、原告は被告に対し、民法709条に基づき不法行為に基づく損害賠償として、金1100万円およびこれに対する事件発生日である平成27年4月4日から支払済みまで年5パーセントの割合による遅延損害金を支払うことを求める